私たちだから
できること
できること
時代が変われば生活スタイルが変わってくるのも「あたりまえ」。世間の常識や、今までやってきたことにとらわれず、日々、変化に対応しながら、「その人らしい生き方」を大事にしたケアをおこなっています。
日本で最も認知症ケアの歴史がある=
経験を活かせる、ということ
日本で初めて認知症の専門病院を開いたからといって、なにも「日本初」を自慢したいわけじゃありません。40年以上前に始めたということは、それだけ認知症ケアの歴史があるということです。誰しも経験のないことに対応するのは難しいもの。だけど今まで培ってきた豊富な経験があれば、応用することも可能です。「こんなことがあったけど、こんなふうに対応したら解決した」といった“経験知”を、各施設のスタッフで共有。グループ全体での発表会も定期的におこなっています。さらには医師や介護士、先輩や後輩など、ポジションやキャリアにかかわらず意見を交わし合い、より良いケアをめざしています。他施設から受け入れを断られてしまった!という方もご安心ください。匙を投げることは決してありません。ここには認知症ケアにおける「最後の砦」と言われるだけの土台があります。
その人を中心とした
「パーソンセンタードケア」をすべての面で
十人十色、100人いれば100通りの対応の仕方がある…と、言葉にするのは簡単かもしれません。それを理想論ではなく、いちばんの芯に据えて実践しているのが、私たちきのこグループです。認知症専門医と施設が連携して治療やケアのネットワークをつくり、利用者さんお一人おひとりの豊かな生活をサポートしています。人それぞれの個性は、なにも認知症になったからといって失われるものではありません。個々に必要な支援は何かを発見し、見守ること。そのために必要な知識・理解・協力を得られるよう、より良い情報・施設・環境をご本人やご家族に提供していきます。近ごろ推奨される業務の効率化、とは逆行しているかもしれません。だけど私たちは、利用者さんのためになることだったら、あえて非効率な方法を選びます。きのこグループには、利用者さんと接するためのマニュアルがありません。その代わり、みんなが「その人にとって良いか悪いか」を判断基準にして動いているのです。
「あたりまえ」に立ち返って考え、
「あたりまえ」の日常生活を
ご本人を中心とした「パーソンセンタードケア」というのは、なにも至れり尽くせり、なんでもお世話します、というものではありません。利用者さんが受け身になるのではなく、たとえば入居型の施設なら、お料理をしたり、盛りつけをしたり、できることは一緒にやってもらっています。ご自宅での生活と切り離して考えないのが、きのこグループの毎日です。だから利用者さんに教えていただくこともいっぱい。何気ない会話のなかで、食べたいものが出てくれば、今度つくりましょうねとメニューに取り入れたり、食べに行ったりしています。また、たとえばカラオケをやりたいねって人がいて、私も私もってみんなが続いても、今はそんな気分じゃない、って人がいるのもあたりまえ。好きに選べる、ゆとりのある日々を送っています。実践しているのは、「あたりまえ」の自然な日常生活なのです。
通常の1.5~2倍のスタッフを配置し、
利用者さんとのんびりゆったり
いまでは一般的になった少人数制のグループホームやユニットケアを日本で最初に取り入れたのも、きのこグループです。制度化されるよりも前に導入したのは、認知症の方が「あたりまえの生活」を送るために必要なことだと感じたから。その人に必要な支援は何かを見つけ、寄り添うには、一人ひとりとじっくり向き合うことが大切だとわかったからです。そのために現在も、一般的な施設の1.5~2倍のスタッフを配置しています。少ない人数で日々の業務に追われてしまうと、新人スタッフの指導をしたり、サポートをしたりもままなりません。いつでもすぐに相談でき、一緒に学んでいく形で、みんなが日々、成長しています。スタッフ同士のコミュニケーションが密なのも特徴的。一人の利用者さんに対し、それぞれの目線で知ったことを共有しながら、ケアにあたっています。
施設は建てて完成、ではなく、
利用者さんとつくりあげるもの
利用者さんたちが過ごす施設は、建てて完成ではありません。変えることを前提に造っています。過ごされる方の好みに合わせて変えていく、というご本人ファーストの姿勢が、グループにとっては「あたりまえ」でも、皆さんから驚かれる部分です。理想は「自分のおうち」。家にあるお気に入りのものを持ってきてもらって、できるだけ居心地よく。利用者さんだけでなくスタッフも普段着で過ごし、一緒に食卓を囲むような「あたりまえ」の暮らしを送っています。認知症の方が利用される施設は、観葉植物や水槽など、リスクがあるとされるものはなるべく排除して、無機質な空間になってしまっているところも少なくありません。でもそれって全然、家庭的じゃないですよね。利用者さんの言動にはすべて理由があります。それがわかれば、排除すべきものなんてありません。利用者さんが「好き」だと思える、過ごしやすい環境を一緒につくっていきます。